ご紹介しています逗子・葉山と共に、いつもお散歩している鎌倉で撮影した写真をまとめ、お散歩レポートとしてご紹介します。 鎌倉では、歴史の有るお寺や神社を中心としたお散歩をしています。 周囲を山に囲まれた鎌倉独特の地形により、お寺や神社も深い緑に包まれ、心のリフレッシュを求める人にはお勧めです。 実際にお散歩したルートに沿って写真をご紹介しますので、写真を見ながらお散歩をイメージしていただければと思います。
2020.10.8 更新
鎌倉お散歩レポート Vol.1
新緑の季節は、主に北鎌倉のお寺をお散歩します。 鶴岡八幡宮や小町通りなどの人通り賑やかな鎌倉より、北鎌倉の方が歴史を偲ばせる古都の雰囲気が有ります。 円覚寺は「鎌倉五山」と呼ばれる代表的な寺院の一つで、同じく五山に含まれる「建長寺」と肩を並べる規模のお寺で、見どころがたくさん有ります。 駅から近く、境内の広さや緑ゆたかな環境など、総合評価では鎌倉で一番のお寺です。
円覚寺公式Webサイト⇒ http://www.engakuji.or.jp/
2018年4月13,16日撮影
境内図(けいだいず)
一般には、北鎌倉駅の下りホーム側の自動改札を出て、総門から境内に入ります。 「院」とか「庵」という名前の付いた建物が、たくさん有りますが、これらは禅宗寺院特有のもので「塔頭(たっちゅう)」と呼ばれ、高僧の住居または死後のお墓を守る付属の寺院です。 この中で公開されているのは、佛日庵、黄梅院、桂昌庵の3か所のみです。
総門の前の線路を横切り、国道(旧鎌倉街道)の手前まで行った所が本来の円覚寺の入口です。
「大本山円覚寺」と刻まれた石柱が有り、かつては外門が有ったようで、ここから総門までが参道です。 明治時代、貨物線として横須賀線が作られた時、敷地内に線路が引かれ今の状態になりました。
(びゃくろち)参道の途中に有る池、白鷺池の周辺が前庭となっています。(写真は北側部分) ちょうど今、池の向うに横須賀線の電車が走っています。
円覚寺は鎌倉時代、元寇(文永の役)の戦没者を弔うことと自信が信奉する禅宗を広めるため、執権の北条時宗が創建した禅宗寺院で、その廟所(お墓)が有ることが、左の石注に刻まれています。
円覚寺の石柱の右側には、「大遠諱(だいおんき)」と書かれた立て札が有ります。 人が亡くなった後の法要は「一周忌」、「三周忌」などが一般的ですが、50年以上の場合「遠諱」と呼ばれるようです。 お寺の発展に貢献した高僧の法要が行われる案内です。(2018年4月撮影)
緑に包まれた階段を上り、総門へ向かいます。
総門を通って境内に入場したら、正面の階段を上ると山門が有ります。
現在の山門は、江戸時代に再建されたもので、神奈川県の重要文化財に指定されています。 非公開ですが、楼上には、十一面観音、十二神将、十六羅漢が祀られています。
山門の回りには、ベンチがいくつも設置され、大きな杉などの木立に囲まれ日陰になっていますので、境内をお散歩した後の休憩にお勧めです。
山門の中まで来ると、その先に仏殿が見えます。
(ぶつでん)関東大震災で倒壊した後、昭和39年に再建された建物です。 本尊の「宝冠釈迦如来坐像」が祀られています。 日本画家、守屋多々志画伯による天井画「白龍図」も必見です。
せんぶつじょう)仏殿の左手には、茅葺屋根の「選仏場」という建物が有ります。 修行増の座禅道場として江戸時代に建立されたものですが、現在は別の場所で行われており、使用されていないようです。 薬師如来と観音菩薩の二体の仏像が安置されています。
選仏場の前の道を、境内の奥に歩きます。
(みょうこうち)しばらく歩いていくと、左手に大きな池を中心とした景色が広がります。 鎌倉時代に作られた庭園の跡で、池は総門前の白鷺池と並び、創建当初から有った放生池(ほうじょうち)のようです。 「放生池」とは、捕えた魚などを放してやる池のことです。
(しょうぞくいん)円覚寺の開祖として中国・宋から迎えられた高僧、無学祖元(むがくそげん)のお墓が有る塔頭(たっちゅう)です。 中には、国宝の舎利殿が有ります。
(しゃりでん)舎利殿には、お釈迦さまの遺骨の一部「仏舎利」が祀られています。 創建は室町時代と推定されており、鎌倉唯一の国宝建造物です。 通常、非公開ですが正月と11月に、外観のみ公開されます。 唐門の向うに、屋根が見えています。
正続院の前から、更に境内の奥に歩いていきます。 この先に公開されている塔頭、佛日庵が有ります。
(ぶつにちあん)円覚寺を開基(創建)した北条時宗の御廟(お墓)が有る塔頭です。 拝観だけでなく、抹茶をいただきながら休憩できる場所も有ります。
拝観料:100円、抹茶:500円
正面が北条時宗の御廟、左に佛日庵の本堂が有り内部まで見学できます。 手前には、抹茶を飲む緋毛氈(ひもうせん)の縁台が並びます。
佛日庵を出て、新緑の境内を更に奥へ歩くと、右手にお洞が有ります。
(びゃくろくどう)開山の山号の「瑞鹿山」(ずいろくさん)命名にあたり、このお洞から白鹿の群れが出て来たと伝えられています。 お洞の右手には、白い可憐な花が群生しています。
(おうばいいん)白鹿洞を過ぎて少し歩いたところに、境内の一番奥に有る公開されている2つ目の塔頭、黄梅院が有ります。 南北朝時代に寺の発展に貢献した高僧、無窓国師(むそうこくし)のお墓が有ります。
境内の奥には、緑に包まれた小さな観音堂が有ります。
山門を出て仏殿の方に戻ります。
(さかむらしんみん)山門を出ると、右手の掲示板に花をテーマにした詩が有りました。 作者の「坂村真民」は、愛媛県で学校の教師をしながら詩を作っていた人。 文字は管長、横田南陵氏により書かれたものだそうです。
仏殿の方に戻ります。
(ほうどうあと)仏殿の手前まで行くと、二股の角に「法堂跡」の案内板が有ります。 法堂とは、住持(じゅうし)が説法をする場所。(住持とは寺を管理する主僧のこと) 現在は、ボタンなどの花が植えられた花園となっていました。
法堂跡に咲いていた花々。
(ほうじょう)法堂跡を出て少し歩くと左手に方丈の美しい唐門が有ります。 「方丈」とは本来、住職が生活する建物ですが、現在は各種法要の他、坐禅会や説教会、講演会などに使われているようです。
唐門の右手より中に入ると、ビャクシンという名前の古木が有ります。 鎌倉市の天然記念物に指定されています。 その奥が方丈の建物です。
方丈の裏には庭園と、これを眺める場所が有ります。 イスが並べられていますので、ひととき庭園の景色を見ながら心安らぐ時間を過ごせます。
方丈の内部、庭の手前の板敷きの大広間では、週末に座禅会も行われます。
イスに座った時の庭園の景色。
庭園側から方丈を望む景色。
方丈を出て、竹林を横に見ながら弁天堂、洪鐘に向かいます。
(べんてんどうとおおがね)ここから、合計140段の階段を上ると、北条時宗の子、貞時の寄進による洪鐘と、その時、江の島弁財天の加護により梵鐘が完成したことを感謝して建立された弁天堂が有ります。
ようやく表れた最後の階段の上に、弁天堂が見えます。
国宝に指定されている洪鐘。 高さは人間の身長より遥かに高い約2.6m、口径約1.4mで、鎌倉では最も大きい梵鐘です。
弁天堂の右手奥には、北鎌倉の緑を眺めながらお茶を飲める場所として「弁天茶屋」が有りましたが、残念ながら閉店してしまいました。 写真は、2018年の撮影当時のものです。
テーブルの向うは、まるで雲海のような緑の海が広がっています。
弁天茶屋を出て、階段を下ります。 降りた所の道を、左に歩くと山門の前に出ます。
(けいしょうあん)弁天堂の階段を下り山門の方に歩き総門の前まで行くと、公開されている3つ目の塔頭、桂昌庵が有ります。 中には、木造の十王像が祀られており、十王の一つ閻魔王から閻魔堂(えんまどう)とも呼ばれているようです。
新緑を楽しむ北鎌倉、円覚寺でのお散歩はこれにて終了。 再び総門を通って帰路に向かいます。 建長寺と並ぶ規模の大きさで見所もいろいろ有りますので、拝観料 300円は安いと感じました。 特に新緑の季節は美しい緑に包まれ、心のリフレッシュをするには、かなりお勧めです。
禅宗寺院の延暦寺では毎週、坐禅会が行われ初心者向けも有ります。 所要時間が1時間となっていますが、いろいろな説明も有って、実際に座禅を行うのは15分程のようです。 海外ではストレス解放のため行う瞑想、「マインドフルネス」が流行っているようですが、内容は座禅とほとんど同じものです。